大理石って何種類?それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく解説
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大理石って?
大理石は、地球の地殻から産出する一種の自然石で、主成分として炭酸カルシウム(CaCO3)を含んでいます。大理石は、その特徴的な模様や美しい色調から、建築や彫刻、床材、装飾などの多くの用途に広く利用されています。
大理石とは、本来は、生物の遺骸や自然物の沈殿で形成された石灰岩がマグマの熱などで再結晶化した結晶性石灰岩のことですが、日本国内の建築・石材業界では、砂岩・蛇紋岩などを含む装飾性のある石を採石し、加工したものの総称を「大理石」とも言います。大理石の生成には数億年単位の時間が必要で、生物・自然物の化石を残しているものも珍しくありません。
大理石はさまざまな色調で存在し、白、黒、グレー、ピンク、緑、黄色などの色合いがあります。また、大理石には美しい模様や紋章が含まれており、それによって異なる種類の大理石が識別されます。
大理石は非常に堅固で耐久性があり、長寿命であるため、建築材料として利用されます。多くの古代建築物や彫刻は大理石から作られており、今日でもその美しさが維持されています。
大理石は切削や彫刻に適しており、芸術家や彫刻家によってさまざまな彫刻作品が制作されています。有名な彫刻家ミケランジェロの作品「ダヴィデ像」などがあります。
大理石は建物の内外装、床、壁、柱、彫刻、装飾品として広く使用されています。有名な建物や彫刻、古代の神殿や宮殿などが大理石で作られています。
大理石は芸術と文化の重要な要素として、美術や建築の中で重要な役割を果たしてきました。ギリシャ、ローマ、ルネサンス期などの芸術運動において大理石は特に重要でした。
大理石はその美しさ、耐久性、多様な用途のために、建築や芸術において高く評価されています。
天然の大理石ができるまで
大理石は主に2つの主要な過程を経て生成されます。
最初に、海底や湖底、川床などの地下の岩石層において、カルシウムと炭酸水素イオンを含む水中の溶解物が堆積します。この溶解物は、さまざまな化学反応と圧力の影響を受けて固まり、カルシウムカーボネートの堆積物として形成されます。
堆積したカルシウムカーボネートは、時間の経過とともに地下で高い圧力と温度に晒されます。この高圧力と高温の環境によって、カルシウムカーボネートは結晶化し、大理石として知られる岩石に変質します。この過程は地質学的な変化によって何百万年かけて進行し、大理石が形成されます。
天然大理石の外観や特性は、その形成過程における地質条件や鉱物の組成に大きく影響されます。これが、さまざまな色、模様、質感の大理石が存在する理由です。
大理石は採掘された後、加工されて建築や彫刻の材料、床材、カウンタートップ、彫刻、装飾などのさまざまな用途に使用されます。天然大理石はその美しさと耐久性から高く評価され、多くの建築プロジェクトや芸術作品において重要な材料として使用されています。
人工大理石
人工大理石は、天然大理石を模倣した合成素材の一種です。天然大理石は、高級で美しい外観を持つ建築材料として広く使用されていますが、天然の大理石は高価で、加工が難しいことから、人工的な代替品が求められてきました。人工大理石は、天然大理石に似た外観と質感を提供しながら、コストを削減し、加工のしやすさを実現するために開発されました。
人工大理石は、一般的に以下の材料を使用して製造されています。
- マーブル粉末(Mable Powder): 天然大理石の石灰岩から得られる粉末状の材料です。
- 樹脂(Resin): 通常、アクリル樹脂やポリエステル樹脂などのポリマーが使用されます。この樹脂は、マーブル粉末と混合され、硬化剤と一緒に成形プロセスで使用されます。
- 顔料(Pigments): 顔料は人工大理石に色を付け、天然大理石に似た模倣を作り出すのに役立ちます。
人工大理石は、様々な建築および内装の用途に使用されており、キッチンカウンタートップ、浴室の壁や床、テーブルトップ、装飾的なカウンターや什器、彫刻、彫刻、芸術品など、多くの場所で見られます。人工大理石は通常、天然大理石に比べて耐久性が高く、汚れにくく、保守が簡単で、価格帯も幅広いため、多くの場面で選択肢として検討されています。
人造大理石
人造大理石は、天然の大理石を模倣した合成材料であり、高級で美しい外観を持つ建築材料として使用されます。この材料は天然大理石に似た外観や質感を提供するために設計されており、コストを抑えつつ、加工が容易で耐久性があります。
人造大理石は、通常、マーブル粉末、樹脂、および顔料を組み合わせて製造されます。マーブル粉末は、天然の大理石から得られるもので、外観にリアリティをもたらします。樹脂は材料を固化させる役割を果たし、顔料は色付けに使用され、さまざまなデザインや模様を再現するのに役立ちます。
人造大理石は、キッチンカウンタートップ、浴室の壁や床、テーブルの天板、装飾用のカウンターや什器、建物の内外装、彫刻、アート作品など、多くの場面で見られます。人造大理石は、天然大理石に比べてコストが抑えられ、耐久性が高く、メンテナンスが比較的容易であるため、実用的な選択肢として広く利用されています。したがって、人造大理石は、天然大理石の代替品として非常に人気があります。
テラゾー
樹脂やセメントを主材とし、粉砕した天然大理石を混ぜ固めたもの。
セメントで固めたものをセメントテラゾー/樹脂で固めたものをレジンテラゾー
と分けて呼ぶこともあったが、近年ではまとめて『人造大理石』と呼ばれることが多い。
大理石に代わってタイル(セラミック)・ガラスなどを使うこともある。
クォーツストーン
天然の水晶を樹脂で結合したもの。水晶の含有率は93~95%で天然素材に近い。
国内の住宅設備メーカーでも取扱いがあり、キッチンカウンターや洗面カウンターにハイグレード品として採用されている。
天然大理石
天然大理石(Natural Marble)は、大理石として知られる堆積岩の一種であり、地球の地殻から採掘される天然の鉱物材料です。大理石は主に石灰岩が高温高圧の変成作用を受け、結晶化して形成されたもので、その美しい外観、独特な模様、色彩、質感などから高級な建築材料として広く使用されています。
天然大理石の主な特徴は以下の通りです:
- 視覚的美しさ: 天然大理石は多彩な色彩と独特の模様を持っており、美しい外観を提供します。それぞれの大理石の板やブロックは一意であり、魅力的なデザインを作り出します。
- 耐久性: 天然大理石は堅固で耐久性があり、年代を経るにつれてもその美しさを保ちます。しかし、適切な保守とメンテナンスが必要です。
- 変動する特性: 天然大理石の特性は種類や産地によって異なり、硬さ、吸水率、色、柄などが変動します。
- 切削可能性: 天然大理石は切削や彫刻に適しており、建築や彫刻に使用されることが多いです。
一般的な用途としては、天然大理石は床材、壁材、カウンタートップ、彫刻、彫像、彫刻物、記念碑、彫刻、装飾品などに使用されます。ただし、天然大理石は高価で、加工が難しいため、予算やプロジェクトの要求に合わない場合があります。
そのため、人工大理石や人造大理石といった合成材料が、天然大理石の代替品として広く使用されています。これらの合成材料は、天然大理石に似た外観と質感を提供しながら、コストを抑え、加工が容易であり、多くの用途で選択されています。
天然大理石の中にも300を超える種類がある!
大理石は非常に多くの種類やバリエーションがあり、さまざまな産地や地質条件によって異なる特性を持つことが一般的です。したがって、天然大理石の種類は非常に多岐にわたり、数百以上の異なる種類が存在する可能性があります。ただし、厳密に「300種類ある」という具体的な数字を確認することは難しいです。大理石の種類は、その産地や鉱床によって異なり、色、柄、硬度、質感、天然の模様、鉱物の成分などが異なります。
一部の有名な大理石の種類にはカララ大理石(Carrara Marble)、カラムビア大理石(Columbian Marble)、カラベリータ大理石(Calacatta Marble)、セルピンティン大理石(Serpentine Marble)などがあります。それぞれの大理石は独自の外観や特性を持ち、建築や彫刻などのさまざまな用途に使用されます。
天然大理石の多様性と美しさは、多くの建築家やデザイナーに魅力的であり、特定のプロジェクトやデザインの要求に合わせて選択されます。したがって、大理石の種類は非常に多様であり、好みやプロジェクトに応じて採用されます。
天然大理石の産地
天然大理石は世界中にさまざまな産地で産出されています。以下は、一部の有名な大理石の産地の例です:
- イタリア: イタリアは世界で最も有名な大理石の産地の一つであり、カララ大理石(Carrara Marble)が特に有名です。カララ大理石は高品質で、白い大理石として広く使用されています。他にもカラベリータ大理石(Calacatta Marble)やマカエロ大理石(Macael Marble)などが産出されています。
- ギリシャ: ギリシャも古代から大理石の産地として有名で、テッサロニキ大理石(Thessaloniki Marble)やパラゴナ大理石(Paros Marble)などがあります。
- トルコ: トルコは多くの大理石の種類を産出する国で、ブルダール大理石(Burdur Marble)やアフヨンカラヘイドック大理石(Afyonkarahisar Marble)が知られています。
- スペイン: スペインでも多くの大理石が産出され、クレマ・マルフィル大理石(Crema Marfil Marble)やロホ・アリシャンテ大理石(Rojo Alicante Marble)がその代表的な例です。
- インド: インドも大理石の豊富な産地の一つであり、マクラナ大理石(Makrana Marble)やラージャスタン大理石(Rajasthan Marble)が有名です。
- アメリカ: アメリカ合衆国にも大理石の産地があり、バーモント州やジョージア州で産出されるものがあります。ダニッツ・ホワイト大理石(Danby White Marble)などがアメリカの代表的な大理石です。
これは一部の代表的な産地の例であり、実際には世界中に多くの大理石の産地が存在します。各産地の大理石は異なる特性を持ち、外観や用途に応じて使用されます。
天然大理石の様々な模様
天然大理石はその材質や種類によって目の細かい模様、石目があばれるまだら模様など様々です。
人工大理石のメリット
人工大理石は、天然大理石に比べて採石はなく、加工、輸送などのコストが安い為コストパフォーマンスの非常に高いです。
軽量性や汚れにくく、傷つきにくいなど耐久性に優れているため住宅やレストランなど様々な場面で適しています。
人工大理石のデメリット
人工大理石は多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
一般的に、人工大理石は天然大理石よりも耐久性に劣る部分もあります。特に、高温に対する耐性が低いため、熱い鍋や鍋敷きなどを直接置くと表面に損傷が生じる可能性があります。また、経年による色の劣化、一部の酸性物質に対しても影響を受けやすいことがあります。
一部の人工大理石は環境に負荷をかける製造プロセスもあり、天然大理石よりも環境への影響が大きい場合があります。
人造大理石のメリット
人造大理石も、天然大理石に比べて採石はなく、加工、輸送などのコストが安い為コストパフォーマンスの非常に高いです。
人造大理石は通常、低い吸水率を持つため、水や液体の浸透を防ぎ、表面を守ります。メンテナンスが比較的簡単で、特別なシーリングや定期的な保守が必要ありません。これは天然大理石に比べて手間がかかりません。
- 環境への影響低減: 一部の人造大理石製品は再生可能な素材を使用しており、環境にやさしい選択肢となります。また、製造プロセスにおいて天然資源の使用を削減することができます。
人造大理石のデメリット
人造大理石は多くのメリットがありますが、人工大理石同様いくつかのデメリットも存在します。
一人造大理石の設置時、異なる板を接合する際に関節部分が目立つことがあります。これに対処するために、デザインや施工の工夫が必要です。
また、 人造大理石製造には一部の製品で環境への影響があることがあり、再生可能な素材を使用しているとは限りません。
天然大理石のメリット
天然大理石は独特のの美しさがあります。模様、色合い、質感が美しく価値あるものです。
耐久性についても:年代を経るにつれても適切なケアを施せばその美しさを長い期間にわたって保ちます。
また天然大理石は一つとして同じものが存在しないため、希少性と価値が生まれます。当社でも石目を選んでお客様にご満足いただける品物をオーダーメイドでご用意させていただいております。
そして何といっても天然石だからこそ味わえる高級感は住宅やホテル、レストランなど様々な場所で用いられています。
天然大理石のデメリット
天然大理石には多くの魅力がありますが、デメリットもあります。
天然大理石は高級な建材の一つであり、その採石、加工、輸送にかかる費用が高いため、コスト面で大きな負担がかかります。
また、吸水性が高いため、液体や染み付きに対して敏感です。飲み物や染料をこぼした場合、染みつきやシミのリスクがあります。
当社ではそのようなリスクを避けるため、コーティング加工を施して艶感と吸水性を抑える方法がございます。
ただし、定期的なメンテナンス(10年前後)が必要で、この保守作業を怠ると、色あせや染み付きのリスクが高まります。
重量もサイズが大きくなればなるほどあるため住宅では設置箇所に躯体に補強を加えるなど適切な構造計算とそれに耐える強固な構造が必要です。
新築で大理石を購入の方はこの件に関しては建築施工を行う会社にご相談してみるのが安全です。
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当社では今まで数々の種類の大理石を用いて様々なサイズ、デザインのテーブルを製作させていただきました。
テーブルや天板をお好みの、サイズ、形状をオーダーする事ができる!
ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
杉山 瑛一 / ウエストハウス・ギャラリー株式会社 取締役
2010年にインドネシア中部ジャワ州にプリンセス家具、姫家具、ロココ調家具をマホガニー材で製作する自社工場を立上げ、オーダーメイド家具を製作する生産システムを構築。年に10回以上行き来し10数年に渡り培ったインドネシア国内のネットワークと現地人の協力により今までお客様のご要望に応じた数々の商品を製作。
2019年に現地法人 PT.SUGIYAMA KAGU INDONESIAを設立。代表就任と同時に現地で就労ビザを取得。
オーダーカーテンの知識も豊富で数々のお客様宅へお届けしてきました。
使用言語:インドネシア語、英語、日本語